コンセプトドローイングについて
この三枚のドローイングは、画家・篠崎理一郎と建築家・辻 琢磨との協同作品で、2016年の秋にKCICを中心に開催された「モノセレモニーズ」のコンセプトを表しています。
この三枚は、人、場所、物というモノセレモニーズで扱った三つの要素をそれぞれに象徴するもので、人とモノの関係を物語として表現した「龍」、鹿児島の都市空間と雄大な桜島を表した「街」、お互いに関連なくモノが並べられた「グリッド」が、それぞれ合板に、ボールペンで詳細に描かれています。この三つの要素は、この電子書籍「動き、流れる建築のかたち」において統合されることで電子書籍上の空間でしかできない高解像度な認知体験を可能にしています。目を凝らしてよくみてください。それぞれのドローイングは圧倒的な密度と解像度で描かれており、例えば龍の絵は、遠くで見ると龍が、近くでみると人とモノが交差する物語がみえてきます。自分の視点でモノの見方が変わる、そのことに気づくと、世界全体の見方が変わるように、日常の気づきを広く与えることが、芸術の一つの価値であると、私たちは考えています。このドローイングは、それを伝えるための表現です。
篠崎 理一郎 | 画家、KCICスタッフ
1989年生まれ。鹿児島大学院理工学研究科数理情報科学専攻修了。 主に黒を基調とした線で、幾何的要素を起点に建造物や人物、動物など多岐にわたるモチーフをドローイングで描く。個展やグループ展、海外のアートフェアや展示の参加、「Manhattan Portage(NY)」「無印良品」「KIRIN」「URBAN RESEARCH DOORS」といったブランドとのコラボレーション、書籍挿絵やミュージシャンのCDジャケット等の販促物のアートワークを手掛ける。 http://www.reeeeeach.com/